研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和4年6月14日 朝の勉強会

担当Y先生 テーマ「小児画像検査」

【症例】10歳代 女性
【主訴】腹痛、嘔気
 体温 36.2℃ 脈拍66bpm
 血圧 102/66mmHg
 呼吸数18回/分 SpO2 98%(RA)
 本日17時半頃、練習中に野球の軟球が右季肋部に当たった
 嘔気あり
 通院なし 内服なし

 画像検査どうします?  まずは腹部エコー!

小児の腹部CT

適応疾患(疑いを含む)

急性腹症(急性虫垂炎疑いを含む)、腹部鈍的外傷、炎症(不明熱、腹膜炎)、腹部腫瘤
小児がんや白血病、悪性リンパ腫の腹部浸潤の評価、固形腫瘍の初回や治療後のフォロー
アップ、腸閉塞、炎症性腸疾患(IBD、クローン病、潰瘍性大腸炎など)、消化管出血、
腎・尿路結石、腎盂腎炎、虐待の可能性など

小児特有の身体的特徴 腹腔内の脂肪量が非常に少なく、成人と比較し臓器間や腸管との境界が不明瞭
キーとなる項目

造影剤の投与
患者のポジショニング
被ばく低減の工夫
協力が得られれば呼吸停止で行う
多断面再構成画像(MPR)の構築

放射線被ばくのリスク 放射線誘発性がんのリスク推定:成人に比べ2から3倍脆弱
検査前準備の必要性 精神的準備(患児、両親)、鎮静の有無、造影CTの準備
Take home message
  • むやみに腹部CTを行うのではなく、リスクベネフィットを考慮した判断が必要
  • その場では異常が出なくとも、時間経過とともに発症する可能性を考慮し、本人・家族に注意する点、受診の目安を伝える