研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和4年12月20日 朝の勉強会

 

 

 

テーマ「嚥下」 H先生

嚥下機能ってどう評価しているの?

先行期 … 食べ物の確認、食べ方の判断

準備期 … 食べ物をよく噛んで飲み込みやすくする

口腔期 … 食べ物を口からのどへ送る

咽頸期 … 食べ物がのどを通って食道へ送られる

食道期 … 食べ物を食道から胃へ送る

 

名称 形態 目的・特色 主食の例 必要な咀嚼能力 他の分類との対応

嚥下訓練

食品Oj

●均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー

●離水が少なく、スライス状にすくうことが可能なもの

●重度の症例に対する評価・訓練用

●少量をすくってそのまま丸呑み可能残留した場合にも吸引が容易

●たんぱく質含有量が少ない

おもゆゼリー、ミキサー粥のゼリーなど

(若干の送り込み能力)

●嚥下食ピラミッドLO

●えん下困難者用食品許可基準Ⅰ

  

嚥下訓練

食品Ot

●均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水

(原則的には、中間のとろみあるいは濃いとろみのどちらかが適している)

●重度の症例に対する評価・訓練用

●少量ずつ飲むことを想定

●ゼリー丸のみで誤嚥したりゼリーが口中で溶けてしまう場合

●たんぱく質含有量が少ない

(若干の送り込み能力)

嚥下食ピラミッドL3の一部(とろみ水)

嚥下

調整食1j

均質で、付着性・凝集性・かたさ、離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの

●口腔外で既に適切な食塊状となっている

(少量をすくってそのまま丸吞み可能)

●送り込む際に多少意識して口蓋に舌を押しつける必要がある

●0jに比し表面のざらつきあり

(若干の食塊保持と送り込み能力)

●嚥下食ピラミッドL1・L2

●えん下困難者用食品許可基準Ⅱ

●UDF区分 かまなくてよい(ゼリー状)*UDF:ユニバーサルデザインフード

嚥下

調整食2-1

ピューレ・ペースト・ミキサー食など、均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの

●口腔内の簡単な操作で食塊状となるもの(咽頭では残留、誤嚥をしにくいように配慮した物)

粒がなく、付着性の低いペースト状のおもゆや粥

(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)

●嚥下食ピラミッドL3

●えん下困難者用食品許可基準Ⅲ

●UDF区分 かまなくてよい

嚥下

調整食2-2

●ピューレ・ペースト・ミキサー食などで、べたつかず、まとまりやすいもので不均質なものを含む

●スプーンですくって食べることが可能なもの

やや不均質(粒がある)でもやわらかく、離水もなく付着性も低い粥類

(下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力)

●嚥下食ピラミッドL3

●えん下困難者用食品許可基準Ⅲ

●UDF区分 かまなくてよい

嚥下

調整食3

●形はあるが、押しつぶしが容易、食塊形成や移送が容易、咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの

●多量の離水がない

●舌と口蓋間で押しつぶしが可能なもの。

●押しつぶしや送り込みの口腔操作を要し(あるいはそれらの機能を賦活し)、かつ誤嚥のリスク軽減に配慮がなされているもの

離水に配慮した粥など

舌と口蓋間の押しつぶし能力以上

●嚥下食ピラミッドL4

●UDF区分 舌でつぶせる

嚥下

調整食4

●かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどのないもの

●箸やスプーンで切れるやわらかさ

●誤嚥と窒息のリスクを配慮して素材と調理方法を選んだもの

●歯がなくても対応可能だが、上下の歯槽堤間で押しつぶすあるいはすりつぶすことが必要で舌と口蓋間で押しつぶすことは困難

軟飯・全粥など

上下の歯槽堤間の押しつぶし能力以上

●嚥下食ピラミッドL4

●UDF区分 舌でつぶせるおよび

UDF区分 歯ぐきでつぶせるおよび

UDF区分 容易にかめるの一部

take home message

●口腔の環境や喉頭の形態といった解剖、唾液の貯留などはVEで、口腔期~食道期はVFで診る。

患者さんの嚥下機能障害に沿って嚥下調整食を選ぶ。呑み込みの力に応じてとろみもつけて、都度評価する