研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和4年7月15日 朝の勉強会

担当I先生 テーマ「外傷」

【症例】
20歳代 男性
受傷機転:バイクで交差点を直進中、対向の右折車と衝突した
受傷部位:鼻出血、左前胸部挫創、両手関節痛あり
バイタルサイン:JCS2、HR 109/min、BP 104/59mmHg、
          RR 20/min、SpO2 95%(RA)
行った処置:頸椎カラー装着 バックボード固定 O2 4L投与

Secondary Survey
頭部:左前頭部に擦過傷あり(圧痛なし)
顔面:左Black eyeあり、鼻腔に凝血塊付着、開口障害なし
胸部:左前胸部に挫創あり(圧痛なし)
腹部:右下腹部に圧痛あり
骨盤部:左鼠径部に皮下血種あり
下肢:明らかな創や圧痛点なし
上肢:右手関節に圧痛あり(変形腫脹なし)
   左手関節に疼痛あり、変形あり
背部:明らかな創や圧痛点なし

改めて診察
複視あり、眼球運動障害あり、眼球陥没なし、視力障害なし
陰嚢尾側正中付近に血種あり、右陰嚢に疼痛あり

診断
左手関節脱臼骨折
右精巣損傷
左眼科底骨折、鼻骨骨折

当日:整形外科、泌尿器科 緊急手術 観血的整復固定術、精巣損傷修復術
2週後 :形成外科 整復固定術

Take home message
  • 受傷起点を意識して診察をおこなう
  • 骨盤部には骨折以外にも緊急性の高い病態があることを意識し、外傷患者の診察を行う必要がある
  • Secondary Surveyでは、すべての孔を観察する