研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和3年10月14日 夜の勉強会

循環器内科 辻中先生 テーマ「心不全」

目標

  • 心不全の病態を迅速に把握するためのクリニカルシナリオについて理解する
  • CSに対応する治療を開始できる

 

 

急性心不全に対する初期対応におけるCS分類

CS分類
分類 CS 1 CS 2 CS 3 CS 4 CS 5
主病態 肺水腫 全身性浮腫 低灌流 急性冠症候群 右心機能不全
収縮期血圧 >140㎜Hg 100~140㎜Hg <100㎜Hg
病態生理

・充満圧上昇による急
性発症
・血管性要因が関与
・全身性浮腫は軽度
・体液量が正常また
は低下している場合もある

・慢性の充満圧/静
脈圧による緩徐な発症
・臓器障害/腎・肝
障害/貧血/低アルブミン血症
・肺水腫は軽度

・発症様式は急性ある
いは緩徐
・全身性浮腫/肺水腫は軽度
・低血圧/ショックの
有無により2つの病型あり

・急性心不全の症状・徴候
・トロポニン単独の上
昇ではCS 4に分類しない

・発症様式は急性あるいは緩徐
・肺水腫なし
・右室機能障害
・全身的静脈うっ血徴候

Take home message
  • 急速に進行する高齢化とともに心不全症例数は増加している
  • 心不全の病態は①肺うっ血、②体液貯留、③低灌流に集約され、それらの病態把握を迅速に行うクリニカルシナリオを知っておく必要がある
  • 心不全治療において、患者さんの救命と苦痛の改善が最優先であり、まずは肺うっ血による呼吸困難の改善と低灌流の改善を目指す
  • そのためには迅速に治療開始できる血管拡張薬(ミオコールスプレー)や、圧倒的効果のあるNPPV装着をいかに早く行うかがカギとなる