研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和3年11月26日 朝の勉強会

担当H先生 テーマ「胆嚢炎」

80歳代 男性
体重110kg
主   訴 心窩部痛
現病歴 夕食後心窩部痛が出現し改善しないため救急要請
既往歴 陳旧性心筋梗塞、高血圧症、脂質異常症、 虫垂切除術後

 

腹部所見 Murphy兆候陰性

腹部エコー/CT  急性胆嚢炎

緊急手術する??

急性胆嚢炎重症度判定基準

重症急性胆嚢炎(Grade Ⅲ)

急性胆嚢炎のうち、以下のいずれかを伴う場合は「重症」である
・循環障害(ドーパミン≧5µg/㎏/min、もしくはノルアドレナリンの使用)
・中枢神経障害(意識障害)
・呼吸機能障害(PaO₂/FiO₂比<300)
・腎機能障害(乏尿、もしくはCr>2.0㎎/dL)
・肝機能障害(PT-INR>1.5)
・血液凝固異常(血小板<10万/㎣)

中等症急性胆嚢炎(Grade Ⅱ)

急性胆嚢炎のうち、以下のいずれかを伴う場合は「中等症」である
・白血球数>18,000/㎣
・右季肋部の有痛性腫瘤触知
・症状出現後72時間以上の症状の持続
・顕著な局所炎症所見(壊疽性胆嚢炎、胆嚢周囲膿瘍、肝膿瘍、胆汁性腹膜炎、気腫性胆嚢炎などを示唆する所見)

軽症急性胆嚢炎(Grade Ⅰ)
急性胆嚢炎のうち、「中等症」、「重症」の基準を満たさないものを「軽症」とする
Take home message
  • Murphy徴候は感度が低い
  • 認めなくても胆嚢炎は疑う!
  • 画像検査は、腹部エコーと造影CT
  • 治療は絶食、輸液、抗菌薬
    ・・抗菌薬はセフメタゾールやABPC/SBT
    ・・GradeⅡではPIPC/TAZも考慮
  •  手術適応は、その病院の文化が関係
  • 既往歴や生活歴等、上級医の先生と相談できることをやりましょう