研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和4年7月8日 朝の勉強会

担当K先生 テーマ「主訴は何?」

50歳代男性 ふらつき
救急スタッフより
「ふらつきの人が来ています。化学療法中の人で、血便があるみたいです。Cベッドに寝てもらっています」
体温36.1℃ 脈拍78/min 血圧137/82 mmHg
呼吸数20/min SpO2 97%(RA)

どうしますか?

【現病歴】
4/1頃からふらつきを自覚した。同じころから食欲も低下し、嘔気を自覚していた。
4/3からお腹に力を入れた際に肛門から出血するようになった。
ふらつき、嘔気、食欲低下が続いていたため、4/4に家族に勧められて受診。
血尿なし ストマ内血便なし 吐き気あり

【既往歴】
直腸癌、前立腺浸潤、肝転移、肺転移、リンパ節転移
ストマ造設後、両側腎瘻造設後、CVポート造設後

診断;直腸癌脳転移

 

嘔気嘔吐の鑑別
N:neuro      中枢神経障害、頭蓋内圧亢進
A:abdominal            胃内容物うっ滞、消化管伸展
V:vestibular       前庭神経障害
S:sympathetic      交感神経・副交感神経の異常
   somatopsychiatric
E:electrolyte      電解質・内分泌疾患
   endocrinologic disorder
A:addiction        薬物中毒

特に担癌患者さんでは
N:脳転移
A:便秘、腸閉塞、腹水
V:
S:精神的問題
E:高Ca血症
A:化学療法、放射線療法、オピオイド

 

Take home message
  • 主訴を考えやすい言葉に置き換える
  • 担癌患者でもまずは主訴に合わせて鑑別を挙げる