研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和5年7月18日 朝の勉強会 

テーマ「腹痛」Y先生

50歳代女性 主訴 腹痛

【現病歴】

X-3 日 背中と腹部に痛み(背中<腹部)

X-2日  かかりつけ医を受診→血尿と腎結石を指摘された.カロナールを処方されたが腹部違和感が継続.

X日    19:00 夕 20:00 痛みが増悪

 

腹痛の部位と想起される疾患

腹痛と背部痛を訴える患者で鑑別すべき疾患は?

後腹膜病変に注意すべきである。
・血管系    大動脈瘤破裂、大動脈解離
・消化器系疾患 急性膵炎(慢性膵炎)、胆石症、急性胆嚢炎、脾梗塞
・泌尿器系疾患 腎・尿管結石、腎梗塞
・その他    帯状疱疹、圧迫骨折、腸腰筋膿瘍

ショックを伴う腹部中心部の激しい疼痛で鑑別すべき疾患は?

急性膵炎、上腸間膜動脈閉塞症、腹腔内出血、大動脈瘤破裂、大動脈解離、消化管穿孔や腸管壊死、
急性冠症候群、異所性妊娠(女性)

 

上腸間膜動脈に関連する病変 急性腹症の1%腸間膜虚血

上腸間膜動脈閉塞症

a.塞栓症(血栓:心疾患由来)50%

b.血栓症(動脈硬化など)25%

c.解離による閉塞

d.血管炎による閉塞

非閉塞性腸管虚血(NOMI) 20%
上腸間膜動脈症候群

上腸間膜動脈と大動脈の間に

十二指腸が挟まれる

 

take home message

●広範囲の腹痛では腸間膜虚血を鑑別に

 急性腹症の1%は腸間膜虚血

●結石と虫垂炎と遊離ガスは単純CTでも診断可能

 臓器虚血,  血管病変,  膵炎等々は造影CT

まるCTはちゃんと読影に出しましょう