研修医の足跡

初期研修医の実際の毎日をご紹介

令和5年6月27日 朝の勉強会

テーマ「高カリウム血症」 K先生 

目標

高カリウム血症の診断、治療を理解する。

70歳代 男性 walk in

【主訴】

1ヶ月前くらいからの咳や痰

【vital sign】

BT 36.9℃、

呼吸数 20回、SpO2 95%(RA)

脈拍 85回、血圧 115/70

 

緊急的処置→15〜30分で効果出現

カリウムの細胞内へのシフトを促すことで、低カリウム血症改善を図る、GI療法を実施する。

投与例:

50%ブドウ糖液40mL + インスリン(ヒューマリン®︎)5〜8単位

インスリン(単位):グルコース(g)=1:4~1:2.5

 

高カリウム血症の原因

 1.偽性高カリウム血症

  ・機械的溶血、採血時の陰圧の影響、長時間の検体放置 ➡ 採血再提出

  ・白血球増多症、白血球増加(>5万/m㎥) :凝固時に細胞内カリウムが放出 ➡ 血清でなく血漿でカリウム値を再検

  ・本態性血小板血症、血小板増加(>100万/m㎥):凝固時に細胞内カリウムが放出 ➡ 血清でなく血漿でカリウム値を再検

 2.カリウム過剰摂取/負荷

  ・大量の保存血輸血や大量の消化管出血がある

  ・慢性腎臓病(CKD)患者がカリウム含有量の高いものを摂取

  ・腎機能が正常でも一度に大量のカリウム(160mEq以上)を摂取すると血清カリウム濃度が7.0~8.0mEq/L以上となることがある。

 3.細胞内から細胞外への移動

  ・外傷

  ・横紋筋融解症

  ・大量の溶血

  ・高浸透圧(高血糖など)

 4.腎臓でのカリウム排泄障害:最も多い原因

  ・高度腎不全(GFR<5mL/min)

  ・皮質集合管の機能障害

  ・鉱質コルチコイド作用低下(低アルドステロン症)

 5.薬剤

  ・レニン-アンジオテンシン系阻害薬(ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬【ARB】、アルドステロン拮抗薬、レニン拮抗薬)

  ・カリウム製剤

 

take home message

採血でカリウム高値であった場合、まずは偽性の除外をする。

12誘導心電図や症状を確認し、直ちに初期治療を開始する。

初期治療を進めるとともに、高カリウム血症をきたした原因の検索を進める。