テーマ「高カリウム血症」 K先生
目標 高カリウム血症の診断、治療を理解する。 |
70歳代 男性 walk in
【主訴】
1ヶ月前くらいからの咳や痰
【vital sign】
BT 36.9℃、
呼吸数 20回、SpO2 95%(RA)
脈拍 85回、血圧 115/70
緊急的処置→15〜30分で効果出現
カリウムの細胞内へのシフトを促すことで、低カリウム血症改善を図る、GI療法を実施する。
投与例:
50%ブドウ糖液40mL + インスリン(ヒューマリン®︎)5〜8単位
インスリン(単位):グルコース(g)=1:4~1:2.5
高カリウム血症の原因
1.偽性高カリウム血症
・機械的溶血、採血時の陰圧の影響、長時間の検体放置 ➡ 採血再提出
・白血球増多症、白血球増加(>5万/m㎥) :凝固時に細胞内カリウムが放出 ➡ 血清でなく血漿でカリウム値を再検
・本態性血小板血症、血小板増加(>100万/m㎥):凝固時に細胞内カリウムが放出 ➡ 血清でなく血漿でカリウム値を再検
2.カリウム過剰摂取/負荷
・大量の保存血輸血や大量の消化管出血がある
・慢性腎臓病(CKD)患者がカリウム含有量の高いものを摂取
・腎機能が正常でも一度に大量のカリウム(160mEq以上)を摂取すると血清カリウム濃度が7.0~8.0mEq/L以上となることがある。
3.細胞内から細胞外への移動
・外傷
・横紋筋融解症
・大量の溶血
・高浸透圧(高血糖など)
4.腎臓でのカリウム排泄障害:最も多い原因
・高度腎不全(GFR<5mL/min)
・皮質集合管の機能障害
・鉱質コルチコイド作用低下(低アルドステロン症)
5.薬剤
・レニン-アンジオテンシン系阻害薬(ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬【ARB】、アルドステロン拮抗薬、レニン拮抗薬)
・カリウム製剤
take home message
採血でカリウム高値であった場合、まずは偽性の除外をする。 12誘導心電図や症状を確認し、直ちに初期治療を開始する。 初期治療を進めるとともに、高カリウム血症をきたした原因の検索を進める。 |